ワークスペースのヒント
03/04/2026

レンタルオフィスの契約形態とは?特有のサービス性やメリットを解説! 

オフィス移転や法人設立を控える中で、レンタルオフィスと一般的な賃貸オフィスの契約形態の違いにお悩みではないでしょうか。 

この記事では、契約形態の違いや特有のサービス性、さらには新リース会計基準への影響を解説します。 

レンタルオフィスの契約形態とは? 

レンタルオフィスと一般的な賃貸オフィスでは、契約の性質そのものが異なります。 

自社の事業を守るためには、両者の違いや権利関係を正確に理解しておくことが大切です。 

ここでは、それぞれの契約の仕組みや法的な扱いについて詳しく解説していきます。 

レンタルオフィスは「サービス利用契約」が中心 

レンタルオフィスの多くは、施設利用契約やサービス利用契約という形態で提供されています。これは空間という不動産そのものを借りるのではなく、仕事をするための施設を利用する権利を得る契約です。 

例えば、スポーツジムや会員制ラウンジの利用権を購入するイメージに近いと言えます。 

空間を独占的に支配する権利を持たない代わりに、通常の賃貸オフィスとは権利関係や解約条件の考え方が大きく異なります。 

利用契約は借地借家法が適用されないケースが多い 

サービス利用契約でレンタルオフィスを利用する場合、原則として借地借家法は適用されません。 

借地借家法とは、建物の賃貸借契約において借りる側を保護するための法律です。 

参考:借地借家法 | e-Gov 法令検索 

この法律が適用されないということは、契約期間が満了した際に、通常の賃貸オフィスのような強い権利を主張できないことを意味します。 

運営会社の都合で施設が閉鎖されるなど、拠点そのものが使えなくなるリスクもゼロではありません。権利が弱い分だけ身軽に動けるとも言えますが、長期的な視点での事業計画には注意が必要です。 

レンタルオフィスの契約内容が持つ特有のサービス性 

レンタルオフィスを選ぶ際、単なる「場所の確保」と考えてしまうと、その本質を見誤る可能性があります。 

なぜなら、提供される価値の大部分がサービスとしての側面に依存しているためです。 

ここからは、契約内容に含まれる特有のサービス性について深掘りしていきます。 

空間の貸し出しではなく運営サービス契約に近い 

レンタルオフィスの契約は、単なる「部屋貸し」ではなく運営サービス契約に近いという見せ方が重要になります。 

利用者は箱としての部屋にお金を払うのではなく、そこで提供される快適な労働環境全体に対価を支払っているからです。 

例えば、定期的な清掃やゴミ回収、セキュリティの管理などはすべて運営会社が行ってくれます。 

自社で清掃業者を手配したり、警備会社と契約したりする手間はかかりません。 

オフィスの維持管理に関わる見えない業務をすべてアウトソーシングできるのが、この契約形態の強みです。 

個室と共用部に加えて家具やネット環境が含まれる 

契約の中には、個室の利用権だけでなく、共有ラウンジの利用や基本的な設備がすべて含まれています。 

デスクやチェアといったオフィス家具や、高速なインターネット通信環境も標準で提供されることがほとんどです。 

賃貸オフィスの場合は、内装業者との打ち合わせや通信回線の開通工事などに数ヶ月の期間を要します。 

しかしレンタルオフィスであれば、入会審査を通過して契約を済ませたその日から、パソコンを持ち込むだけですぐに仕事を始めることが可能です。 

準備にかかる人的コストや時間を大幅に削減できるということになります。 

受付や会議室など業務に必要な機能がまとまっている 

事業を運営する上で欠かせない、受付対応や会議室といった機能もパッケージ化されています。 

来客時の一次対応をスタッフに任せられたり、必要な時だけ立派な会議室を予約できたりする仕組みです。 

自社専用の受付を設置し、専任のスタッフを雇用するには多大なコストがかかります。 

しかし、サービス込みの契約であれば、それらの負担を他の入居企業とシェアしながら高度な機能を利用できます。 

小規模な企業であっても、大企業のような充実したオフィス機能を持てるのが大きな利点です。 

サービス要素 レンタルオフィスの提供内容 自社で用意する場合の負担 
オフィス家具 人数分のデスク・チェアが備え付け 購入費やリース契約の手間が発生 
通信環境 開通済みの高速Wi-Fi・有線LAN 回線業者との契約や開通工事が必要 
受付対応 共有の受付スタッフが来客対応 専任スタッフの雇用やシステム導入が必要 
会議室 必要な時間だけ予約して利用 常に専有スペース内に確保しておく必要がある 
維持管理 定期清掃や備品補充を運営会社が実施 自社スタッフの業務負担や業者手配が発生 

新リース会計基準やIFRSから見る契約形態の注意点 

企業の会計処理において、オフィスの契約形態がどのように扱われるかは非常に重要なテーマです。 

特に新リース会計基準の導入によって、契約の実態を正確に把握することがこれまで以上に求められています。 

ここでは、会計基準とレンタルオフィス契約の関係について解説します。 

賃貸オフィスはリースとしてオンバランスになりやすい 

一般的な賃貸オフィスは、会計上リース取引とみなされ、オンバランス(資産・負債としての計上)の対象になりやすい傾向があります。 

特定の資産を使用する権利が、借り手側に長期間にわたって実質的に移転していると判断されるためです。 

ASBJ(企業会計基準委員会)が2024年に公表した新しい「リースに関する会計基準」では、借手のすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上する「使用権モデル」が導入されています。 

これにより、賃貸オフィスの賃料も単なる費用ではなく、バランスシートに影響を与える重要な要素となっています。 

参考:企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の公表|企業会計基準委員会 

レンタルオフィスはサービス要素とリース要素を分ける 

日本の新基準や国際的なIFRS 16においては、契約にリース要素とサービス要素が含まれる場合、それらを分けて考える方針が示されています。 

IFRS 16でも、会計処理の対象となるのは原則としてリース成分のみです。 

レンタルオフィスの場合、受付や清掃、家具の利用、ネット環境の提供などは純粋なサービス要素に該当します。 

一方で、特定の個室を専有する部分はリース要素と見なされる可能性があります。 

契約金額全体を一括りにするのではなく、どこまでが空間の提供で、どこからがサービスの提供なのかを分解して処理する視点が求められます。 

参考:IFRS 第16号 リース 

契約内容や実態次第でオフバランスの判断は分かれる 

レンタルオフィスはサービス性が強い契約であることが多く、純粋な賃貸よりも柔軟に整理される余地があります。 

しかし、「利用契約だから必ずオフバランス(費用処理)になる」とは言い切れません。 

例えば、特定の部屋を長期にわたって完全に専有し、契約変更の自由度も低い場合は、実質的なリースと見なされるリスクがあります。 

逆に、短期の契約であったり、運営会社が自由に利用する部屋を変更できたりする実態があれば、サービス提供としての性質が強くなります。 

最終的な判断は監査法人や税理士との協議によりますが、契約書の名称ではなく契約内容と実態がどちらに近いか」が問われるということです。 

レンタルオフィスの契約形態から得られるメリット 

利用契約という形態は、企業に身軽さと機動力をもたらします。 

特に先行きが不透明なビジネス環境においては、固定費を変動費化できる柔軟性が強力な武器になるはずです。 

ここからは、契約形態から見えてくる具体的なメリットについて解説していきます。

最短1ヶ月から継続義務なしで契約が可能 

レンタルオフィスは、短期契約がしやすいのが最大の魅力です。 

一般的な賃貸契約のような「2年縛り」といった長期の制約がなく、「最短1ヶ月」「継続義務なし」の形で提供される例も見られます。 

期間が限定されたプロジェクトの拠点として利用したり、新しい地域でのテストマーケティングを行ったりするのに適しています。 

撤退の判断を下す際も、素早く行動できるためリスクを最小限に抑えられます。 

事業の見通しが立てづらい状況でも、フットワークの軽い拠点形成が可能です。 

敷金礼金がなく初期費用を大幅に削減できる 

一般的な賃貸オフィスで必要となる、高額な敷金や礼金といった初期費用が不要になります。 

入会金や保証金という名目で、数万円から数十万円程度で済むことが多いためです。 

賃貸オフィスの場合は、賃料の半年から1年分が敷金として必要になるケースも珍しくありません。 

さらに高額な内装工事費もかからないため、手元に残る現金に大きな差が生まれます。 

浮いた資金を人材採用や広告宣伝といった事業投資に回せるのは、経営において大きな利点となります。 

事業の変化に合わせて増床や減床がしやすい 

利用契約という性質上、一般賃貸よりも増床や減床といった調整がしやすいのが特徴です。 

同じ施設の中で、より広い部屋や狭い部屋への移動が柔軟に行えます。 

人員が急激に増えた場合は広い区画へ移り、逆にリモートワークの浸透で出社人数が減った場合はコンパクトな区画へ縮小できます。無駄な空きスペースの賃料を長期間払い続ける必要がありません。 

経営状況の変化に合わせて、常に最適なコストでオフィスを維持できるというわけです。

移転や解約の手続きが賃貸オフィスより柔軟に行える 

将来的に退去する際の手続きや、原状回復に関するトラブルが少ないのもメリットです。 

退去予告の期間が短く設定されていることが多く、急な移転にも対応しやすくなっています。賃貸オフィスの場合、解約予告の半年前に通知し、さらに高額な原状回復工事を行う必要があります。 

レンタルオフィスであれば、備え付けの家具をそのままにして、簡単な清掃費用の負担だけで退去できるケースがほとんどです。 

事業の次のステップへ進む際の足かせが少ないことは、経営者にとって精神的な安心感にもつながります。 

レンタルオフィス契約前に知っておきたいデメリット 

便利な点が多い一方で、独自の契約形態ゆえの制限も存在します。 

契約後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、ネガティブな側面も把握しておくべきです。 

ここでは、事前に認識しておくべき注意点について説明します。

内装の変更やレイアウトの自由度が低い 

あらかじめ用意された空間を利用するため、自社の好みに合わせた大幅な改装はできません。 

壁の色を変えたり、間仕切りを新たに設置したりといった工事は、原則として禁止されています。 

例えば、来客に向けて自社のブランドカラーを全面的に押し出したエントランスを作りたいと考えても、実現は困難です。 

独自の企業文化を空間デザインで表現したい企業にとっては、物足りなさを感じる部分でしょう。 

用意された環境の中でいかに効率よく働くかを考える必要があります。 

長期利用の場合は賃貸より割高になる可能性 

サービス利用料金には、家具のレンタル代や水道光熱費、共用設備の維持費などがすべて含まれています。 

そのため、面積あたりの月額単価を計算すると、一般的な賃貸オフィスよりも高くなる傾向があります。 

事業が安定し、同じオフィスに数年間とどまることが確実であれば、自社で賃貸契約を結んだ方がトータルコストは下がるかもしれません。 

初期費用の安さに目を奪われがちですが、利用期間の長さによっては損をするケースもあります。 

自社の事業計画と照らし合わせて、損益分岐点を見極めることが重要です。 

共用スペースは他の利用者への配慮が必要 

会議室やラウンジ、複合機といった設備は、同じ施設の他の入居企業と共同で利用します。 

自社の専有空間ではないため、利用にあたってのルールやマナーを守らなければなりません。 

大事な商談のタイミングで会議室の予約が埋まっていたり、ラウンジでの他社の会話が気になって作業に集中できなかったりする場面も想定されます。 

情報漏洩のリスクにも常に気を配る必要があります。 

完全に独立した空間を求める企業には、ストレスを感じる要因となるでしょう。 

レンタルオフィスの利用契約が向いている企業の特徴 

サービス利用契約という独特の形態は、事業のフェーズや目的によって合う合わないが明確に分かれます。 

柔軟性の高さを最大限に活かせるのは、どのような状況にある企業なのでしょうか。 

ここでは、レンタルオフィスとの相性が特に良い企業の特徴を解説します。 

試験的な進出や新規拠点の立ち上げを検討する企業 

地方や海外へ新しい市場を開拓するために、試験的な進出を試みる企業に向いています。 

現地の従業員が働くための拠点として、手軽にオフィスを設置できるからです。 

机や椅子、インターネット環境がすでに揃っているため、現地のスタッフを採用してすぐに業務を任せられます。 

事業が軌道に乗らなければ最短1ヶ月で素早く撤退でき、逆に拡大すればより広い区画へ移ることも容易です。 

新規事業におけるテストマーケティングの場として、リスクを抑えた積極的な展開が期待できます。 

採用拠点や短期プロジェクトで利用したい企業 

優秀な人材を獲得するための面接会場や、期間が限定されたプロジェクトの拠点を探している企業にも適しています。 

一般的な賃貸契約では難しい、短期間での契約調整がしやすいからです。 

システム開発のチームを半年間だけ一箇所に集めたい場合や、特定の地域で採用活動を強化したい場合などが考えられます。 

プロジェクトの終了や採用期間の終了に合わせてスムーズに解約でき、違約金などの余計なコストが発生しにくいのが魅力です。 

必要な時だけ必要な空間を確保するという、効率的な運用が可能になります。 

起業直後で初期費用を抑えたいスタートアップ 

設立したばかりで、まだ資金に余裕がないスタートアップ企業にも非常に適しています。 

オフィスという固定費や初期投資を最小限に抑え、事業そのものに資金を集中させたいからです。 

賃貸オフィスを借りるための高額な保証金や内装費を、プロダクト開発や人材の採用に回すことができます。 

また、一等地に拠点を構えることで、取引先からの信用を得やすくなるという副次的な効果も期待できます。 

限られたリソースを有効活用して、事業の立ち上げを加速させたい企業に最適です。 

まとめ 

この記事の要点をまとめます。 

  • レンタルオフィスは賃貸借ではなく「サービス利用契約」が中心である 
  • 契約内容によっては新リース会計基準でも柔軟に整理される余地がある 
  • 最短1ヶ月から利用でき、増床や減床など事業変化への対応が容易である 
  • パッケージ化されたサービス契約のため初期費用や準備の手間が省ける 

自社の状況に合わせた柔軟な契約を選び、事業成長とリスク軽減につなげてください。 

また、Compass Officesでは、ビジネスの成長に合わせた柔軟な契約形態のレンタルオフィスをご用意しております。東京や大阪など、アジア太平洋地域の主要都市に多数の拠点を展開中です。充実した設備が整うモダンな空間で、専任チームがお客様のビジネス拡大を力強くサポートいたします。 

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