ワークスペースのヒント
20/10/2026

弁護士はレンタルオフィスで開業できる?事務所要件や失敗しない選び方を解説 

弁護士が事務所を開業する際、一定の要件を満たすレンタルオフィスであれば法律事務所の設置が可能です。ただし、物理的な実体のないオフィスは認められないなど、法律領域特有の厳しい条件が存在します。弁護士事務所に求められる必須要件や、業務に適したオフィスの選び方を解説します。 

この記事の要約 

  • 弁護士会の審査要件を満たした完全個室のレンタルオフィスであれば法律事務所として開業できる 
  • コスト削減と一等地に拠点を構えるブランディング効果を同時に得られる 
  • 守秘義務を守るための施錠可能な空間や高い防音性が必須条件となる 
  • クライアントの安心感を高めるため、専用の面談室や厳重なセキュリティ体制を整える 
  • 法律事務所としての品位を損なわない内装と、主要施設へのアクセスの良さで選ぶ 

弁護士はレンタルオフィスで事務所を開業できる? 

弁護士が事務所を構えるにあたり、要件をクリアしたレンタルオフィスを選ぶことで開業手続きを進められます。事務所として認められるための判断基準を整理します。 

事務所の形態 開業の可否 
条件を満たしたレンタルオフィス 可能 
バーチャルオフィス 不可 
コワーキングスペース・シェアオフィス 原則不可(専有の個室がない利用形態の場合) 

弁護士会の要件を満たせばレンタルオフィスでも設立が可能である

所属予定の弁護士会が定める要件を満たすレンタルオフィスであれば、法律事務所を設立できます。弁護士は法律事務所を設けたときに所属弁護士会と日本弁護士連合会へ届け出る義務を負い、事務所の具体的な確認事項は各弁護士会が定めているため、要件は所属予定の会に確認する必要があります。弁護士法に基づく事務所設置の規定において、通常の賃貸物件でなければならないという制限はありません。秘密保持や適切な業務遂行が可能な環境であることが重視されます。要件をクリアすることで、スムーズに登録手続きを完了できるでしょう。 

参考:弁護士法 | e-Gov 法令検索 

住所のみの利用や専有部のない共用空間では法律事務所として登録できない 

住所だけを借りる利用形態や、不特定多数と空間を共有して専有部を持たない利用形態では、法律事務所としての開業は認められません。弁護士法第20条は、弁護士の事務所を法律事務所と称し、所属弁護士会の地域内に設けなければならないと定めています。これを前提に各弁護士会が事務所の実体を審査しており、たとえば東京弁護士会の入会審査では、執務場所が個室等で仕切られていることが確認され、バーチャルオフィスやシェアオフィスは不可とされています。また、占有スペースのない環境では、守秘義務の徹底が困難と判断されます。判断の分かれ目は「バーチャルオフィスかレンタルオフィスか」という名称ではなく、施錠できる専有の個室を自分名義で確保できるかどうかにあります。 

参考:弁護士法 | e-Gov 法令検索 

弁護士がレンタルオフィスを事務所として利用するメリット

レンタルオフィスを活用することで、初期投資を抑えながら信用力の高い拠点を確保できます。開業や移転時に得られる具体的な利点を説明します。 

観点 具体的な効果 
費用削減 敷金や礼金、内装工事費などの初期費用を大幅に抑えられる 
信用力の向上 都心の一等地に住所を持ちクライアントに安心感を与えられる 
業務への集中 受付代行や清掃などの雑務を削減しコア業務に専念できる 

一般的な賃貸契約よりも初期費用や固定費を大幅に削減できる 

オフィス家具やインターネット回線が備わっているため、一般的な賃貸契約と比較して開業時の初期費用を抑えられます。通常のオフィス賃貸で発生する敷金や礼金、大規模な内装工事費が不要になるケースがほとんどです。さらに、月額料金に水道光熱費や通信費が含まれていることも多く、固定費の管理も容易になります。事業を立ち上げたばかりの時期でも、資金繰りの負担を軽減できます。 

都心の一等地に拠点を構えることでクライアントに安心感を与えられる

レンタルオフィスの多くは交通の便が良い都心部に位置しており、住所のブランド力によってクライアントの信頼を獲得できます。法律事務所の所在地は、依頼者が弁護士の信頼性を評価する重要な要素の一つです。自前の賃貸契約では手が届きにくいハイグレードなオフィスビルであっても、レンタルオフィスなら入居のハードルが下がります。結果として、集客面でも有利に働くことが期待できます。 

受付対応や清掃などの業務を任せて本来の弁護士業務に専念できる 

常駐スタッフによる来客対応や共用部分の清掃サービスを活用することで、弁護士本来の業務に集中できます。独立直後の少人数体制では、雑務に追われて依頼者への対応時間が削られる傾向があります。電話代行や郵便物の受取を任せられるプランを選べば、外出時や裁判中の連絡漏れを抑えやすくなります。事務員を直接雇用する人件費も削減できるという実利があります。 

弁護士事務所に求められるレンタルオフィスの必須条件 

依頼者の秘密を守るという弁護士の責務を果たすため、施設全体の構造や設備を厳格に確認する必要があります。守秘義務の観点から求められる必須条件を整理します。 

必須条件 導入目的 
完全個室の確保 第三者の立ち入りを防ぎ情報漏洩を防止する 
防音性の高さ 相談内容の外部への漏れを防ぎプライバシーを守る 
厳重なセキュリティ 事件記録や個人情報の物理的・データ的な保護を徹底する 
専用の面談室 執務エリアと分離してクライアントを安全に案内する 
専用の電話・FAX 他の入居者との混同を避け通信の秘密を確保する 

守秘義務を徹底するために施錠可能な完全個室を確保する

弁護士は弁護士法第23条および弁護士職務基本規程第23条により守秘義務を負い、同規程第18条では事件記録の保管・廃棄の際に秘密やプライバシーが漏れないよう注意することが求められます。これを満たす環境として、各弁護士会の審査では執務場所が個室等で仕切られていること、書類を施錠管理していることが確認されます。天井まで壁が塞がっていない半個室やブース席は、第三者に情報を覗き見られる危険性が高まるため避けるのが無難です。この確認は、入会審査時の質問事項書への回答や賃貸借契約書の写しの提出を通じて行われます。施錠でき、自分以外の出入りを制限できる空間を確保することが求められます。 

参考:弁護士法 | e-Gov 法令検索 

参考:弁護士職務基本規程 

クライアントのプライバシーを守るために防音性の高さを確かめる 

隣の部屋や廊下に話し声が漏れないよう、壁の厚さや防音性能が高いオフィスを選ぶ必要があります。デリケートな相談を行う際、外部に会話が聞こえる環境ではクライアントに強い不安を与えてしまうためです。内覧時には、実際に室内で声を出したり、外の音がどれくらい聞こえるかを確認したりすると、防音性を判断しやすくなります。安心して相談できる空間づくりが、依頼者との信頼関係に直結します。 

裁判記録や個人情報を安全に保管できるセキュリティ体制を見極める 

事件記録や個人情報を安全に管理するため、建物への入退室管理や監視カメラなどのセキュリティ体制が整った施設を選びます。機密文書の紛失や盗難は、弁護士としての信用を失墜させる重大な問題に発展します。オートロックシステムや有人警備の有無に加え、個室内に鍵付きの専用キャビネットを設置できる広さがあるかも重要です。インターネット回線の暗号化など、情報セキュリティの強度も確認します。

執務エリアとは完全に切り離された専用の面談室を用意する 

クライアントを案内する際、他の案件の資料が視界に入らないよう、執務エリアとは別の独立した面談室を確保します。一つの部屋で執務と面談を兼ねると、机の上の書類などから無関係の顧客情報が漏洩する恐れがあります。レンタルオフィスの共用会議室を利用する場合は、予約が取りやすく、密室性が保たれているかを事前に確認します。オンライン調停に対応できる通信環境やモニター設備があるとさらに便利です。 

事務所直通の固定電話番号やFAX番号を個別に取得する

通信の機密性を確保するため、電話やFAXを設置する場合は、他の入居者と共有しない事務所専用の個別回線とします。東京弁護士会の入会審査でも、TEL・FAXを設置する場合に事務所専用の個別回線となっているかが確認されます。共有のFAXや代表電話の取り次ぎに依存すると、重要な書類や伝言が第三者の目に触れるリスクが生じます。電話回線の個別引き込みに対応しているか、あるいは専用番号を付与するサービスがあるオフィスを選びます。これにより、弁護士会への登録手続きもスムーズに進行すると考えられます。 

要件を満たすオフィスは「サービスオフィス」から探すと効率的 

前章の必須条件をすべて満たす施設を、名称だけを頼りに探し当てるのは困難です。同じ「レンタルオフィス」でも提供される設備やサービスの水準は大きく異なるため、業態ごとの違いを理解したうえで候補を絞り込みます。 

区分 主な特徴 弁護士事務所としての適性 
バーチャルオフィス 住所利用や郵便転送が中心で専有部を持たない 不可 
シェアオフィス・コワーキング 共用空間やブース席を複数人で利用する 専有の執務室がない利用形態は不可 
レンタルオフィス 施錠可能な個室を専有で借りる 要件次第で可能 
サービスオフィス 個室に加え受付・秘書・会議室などの運営体制が付帯する 専有個室を確保できれば要件を満たしやすい 

レンタルオフィス・シェアオフィス・サービスオフィスの違いを押さえる 

候補を効率よく絞り込むには、専有部の有無と付帯サービスの範囲という2つの軸で業態を整理します。シェアオフィスやコワーキングスペースは共用空間の利用が前提となるため、専有の執務室を確保できない利用形態では弁護士事務所の要件を満たせません。東京弁護士会の入会審査でも、執務場所については都度予約制の会議室やバーチャルオフィス・シェアオフィスは不可とされ、個室等で仕切られた専有の執務室が求められます。面談のために共用会議室を併用すること自体は否定されません。問われるのは施設の名称ではなく、日常の執務場所として施錠管理できる専有の執務室を確保できるかどうかです。レンタルオフィスは施錠可能な個室を専有できる一方、受付や電話対応の有無は施設によって差があります。サービスオフィスはこれに有人受付や秘書サービス、会議室運営が加わった形態で、弁護士業務に必要な体制を一括で整えやすい選択肢です。 

受付や秘書対応まで含むサービスオフィスは弁護士事務所の要件と相性が良い 

サービスオフィスは、守秘義務の遵守と来客対応の品質という、法律事務所が同時に満たすべき2つの条件を運営体制でカバーします。防音性に配慮した専有個室で執務しながら、依頼者との面談は独立した会議室に案内できるため、執務エリアの資料が第三者の目に触れる事態を避けられます。受付スタッフが常駐する施設であれば、期日や外出で不在にしている間の書留郵便の受領や急な来訪にも対応でき、事務員を雇用する前の段階でも事務所としての体裁を保てます。インターネット回線や光熱費、共用部の清掃まで月額料金に含まれる施設が多く、開業直後の固定費を読みやすい点も利点です。 

内覧では守秘義務に関わる項目を事前にリスト化して確認する 

候補施設を比較する際は、弁護士会の審査で問われる項目をチェックリストにして内覧に臨みます。個室の壁が天井まで達しているか、扉を閉めた状態で会話が漏れないか、専用の電話番号とFAX番号を取得できるか、鍵付きキャビネットを置く余地があるかは、図面や料金表だけでは判断できません。面談室から執務エリアが見えない導線になっているか、共用会議室の予約が取りやすいかも、実際に足を運んで確認すべき点です。内覧を申し込む段階で「弁護士事務所として登録予定である」と伝えておけば、要件に沿った部屋や運用方法を提案してもらえます。 

弁護士に相応しい理想的なオフィスはどう選ぶ? 

法律事務所を開設するうえでは、実務の効率化と将来の展望を見据えてオフィスを選ぶことが重要です。事業の成長に直結する選択の基準を解説します。 

選択の基準 判断のポイント 
空間の品位 法律事務所に相応しい清潔感と高級感があるか 
立地の利便性 裁判所や弁護士会館への移動時間を短縮できるか 
有人サービスの質 来客対応や郵便物管理を安心して任せられるか 
拡張の柔軟性 人員の増加に合わせて広い個室へ移行できるプランがあるか 

法律事務所としての品位や信頼性を損なわない洗練された空間を選ぶ

エントランスやラウンジなどの共用部分が、法律事務所としての品格に合う洗練されたデザインであるかを確かめます。オフィスの内装や雰囲気は、クライアントが抱く第一印象に直接影響するためです。古いビルや雑然とした空間では、専門家としての権威性が伝わりにくくなります。内覧の際は、清掃が行き届いているか、来客に不快感を与えない落ち着いた空間かを見極めましょう。 

裁判所や弁護士会館へのアクセスが良く業務を効率化できる立地を探す 

日々の移動時間を削減するため、管轄の裁判所や弁護士会館へアクセスしやすい立地のオフィスを探します。訴状の提出や期日への出頭など、特定の施設へ足を運ぶ機会が多いため、移動距離の長さが業務効率に直結します。主要な地下鉄路線の駅に近い場所であれば、クライアントにとっても訪問しやすくなります。利便性の高い拠点を確保することで、限られた時間を有効に活用できるでしょう。 

丁寧な来客対応や郵便物管理を代行してくれる有人受付サービスを活用する 

不在時でも業務を滞らせないよう、専門のスタッフが常駐する受付サービス付きのオフィスを選びます。裁判や出張で事務所を空ける際、郵便物の受け取りや突然の来客に対応できない事態を防ぐためです。ただし裁判所からの送達は、民事訴訟法第106条により、不在時に書類を受領できるのは使用人その他の従業者や同居者に限られます。共用の受付スタッフが裁判所書類を受領できるとは限らないため、郵便物が他者に渡らず確実に届き、施錠管理される運用になっているかを確認しておくことが重要です。 

参考:民事訴訟法 | e-Gov 法令検索 

アソシエイト弁護士の増員に合わせて柔軟に拡張できるプランを検討する 

将来的な事業拡大を見据え、人員増加の際にスムーズに部屋を移動・拡張できるオフィス形態を検討します。アソシエイト弁護士やパラリーガルを雇い入れた際、固定の賃貸契約では手狭になってもすぐには移転できないためです。同じ施設内でより広い個室へ移行できるプランがあれば、住所や電話番号を変えずに体制を強化できます。事業のフェーズに合わせた柔軟な運用が可能です。 

まとめ 

弁護士が事務所を開設する際、弁護士会が求める守秘義務の要件を満たすレンタルオフィスであれば開業が可能です。完全個室であること、防音性やセキュリティが確保されていること、専用の電話回線があることなどを基準に、要件をクリアできる施設を選定します。 

しかし、数あるオフィスの中から法律事務所にふさわしい品格と設備を備えた場所を独力で探し出すには、多大な時間と労力がかかります。開業手続きや業務の準備に追われる中で、物件選びの負担をできるだけ軽減することが重要です。 

Compass Officesは、都内・大阪の一等地で個室型サービスオフィスを運営しています。防音性とセキュリティに配慮した家具完備の完全個室、法人登記に対応した一等地の住所、来客対応や郵便物の受け取りを任せられる受付スタッフ、時間単位で使える会議室まで、法律事務所として必要な機能を月額料金にまとめてご利用いただけます。月単位からの契約に対応しているため、アソシエイト弁護士の増員時にも同じ施設内で拡張でき、住所や連絡先を変えずに体制を強化できます。 

要件を満たす個室かどうかは、実際の防音性や面談導線を見てはじめて判断できます。開業予定時期と必要な席数をお伝えいただければ、条件に合う拠点をご提案しますので、まずは内覧(施設見学)をご予約ください。 

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